ゆきやこんこん
あられやこんこん
純白が降り積もる庭を見つめ
妹は呟く
「こんこんって何?」
雪の積もる音だよ。僕はそう答えた。
でもそんな音しないよ。妹は冷たいガラスに耳をそばだてる。
当然だ。そんな音はしない。
雪どころか、犬がワンと鳴くことすら嘘っぱちだ。
擬音語というものは、そういうものだ。
だから僕は答える。
「昔の人が作った音だからね」
すごいねと妹は呟いた。
「頑張って雪の音を考えたんだね」
確かに、そうだ。
証明できるもの全てが正しいと信じる現代科学の世の中で
誰が雪の音をこんこんなどと表現できるというのか。
この音を作った名も知らぬ人は、妹のように暖かい心で雪を見つめていたのだろう。
それにくらべ僕の心は、なんと科学的な冷たさにあふれていることか。
「そうだね、すごいね」
僕は、“妹自身”にそう言って
炬燵で丸くなっていたネコを抱き上げた。
猫はけだるそうに“にゃー”と鳴いた。
季節感が真逆なのは
去年の冬に書いた物を今更載せてるからです。
卑怯バンザイ(゚ロ゚)ノ
陸
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